ストロボみたいに

ミルクティー のめません

日記⑬ 黒い爪

午後一時過ぎに目覚めて、適当にご飯を作って食べてゴロゴロして、また眠った。十時間くらい寝たのに十八時過ぎにまた三時間くらい眠った。次に目覚めた時は九時半で、完璧な夜だった。

十二時手前、コンビニに行った。好きなビスケットの新しい味がでていたからカゴに入れた。LAWSONを出て、セブンでななチキを買った。コンビニのチキンにしかない美味しさがある。噛みしめながら公園まで歩いた。LAWSONで買ったワッフルも食べた。桜が綺麗だった。もうすっかり散ってしまった中で、一つだけ、遅れて咲いたピンク色のくしゅくしゅした桜があって、たぶん卒業式とかで和紙を使って作るあのくしゅくしゅの花はこれがモデルなんだなって最近知った。まだお腹がすいてて、チリトマト買えばよかったなって思った。最寄りのコンビニ二軒はさっき行っちゃってもう一度行くのは恥ずかしくて、なんかイヤで、すこし歩いてファミマまで行った。チリトマトと、お気に入りのアイスを買った。夜の公園でカップ麺をたべるのがやってみたくて、今夜はその夢を叶えた。暗くて、全然見えなくて、ちぢれ麺がほのかに赤いことだけをたよりに。髪の毛が鬱陶しい。夜はまだ寒いな。カップラーメンのこの、絶対的な安心感が好きだ。安くて手軽で約束された美味しさがある。なんて優しいんだろう。そしてカップヌードルは、カップ麺の中ではちょっとだけ高い。だからなんか憧れる。チリトマト、すごく美味しい。二人組のアイドルがチリトマトを食べてる写真をSNSに上げてて、その写真がすごく良くて、めちゃくちゃ美味しそうに見えて初めてチリトマトを食べた。それまでチリトマトを知らなかった。一口食べて、めちゃくちゃ美味しくてビックリした。それから再び食べる今日までチリトマトのことばかり考えてた。たった一時間でLAWSONとセブンとファミマのコンビニ三銃士コンプリートするの面白いな、ってアイスを食べながら思った。バニラアイスをバリパリのチョコでコーティングしてある、安いのにめちゃくちゃ美味しいファミマのお気に入り。文章が書きたいなと思った。色々考えるけど、やっぱり文章を書きたいと思うから、最後まで手放せないのだ。

もし、痛みも苦しみもなく死ねるスイッチを手渡されて、これを押した瞬間にもう人生終わりです、ってなって、じゃあ私は押すのかなって昨日の夜思った。スーパーに行くまでの道のり。川沿いを歩きながら。「どうだろう」って思った。それが答えだった。私は悩むのだ。躊躇う。

なんで死なないのかな、って毎日考える。死ぬのが怖いのかな、って。痛いのが怖いのかな、って。それも勿論ある。でも私は、楽に死ねるのだとしても死を選ぶことをしなかった。こんなに毎日苦しくて死にたいのに

でもこれで終わりなんて嫌だし、死にたくねぇし、普通に、当たり前に死にたくねぇし、なんで死ななきゃなんねぇんだ、とも思うし。若いし、人生これからだし、人生は私の物だし、私の人生だし、人生に苦しめられてるけどお前は私のだぞ、って人生と私縺れあってマウントポジションの取り合いだなって

首を絞めて、嘲笑ってやる。ざまあみろって叫んでやる。ざまあみろって

いつか誰も届かない所に行って、君が必要なくなって、その時、ようやく、私は

虚無だなって 空っぽだなあって

今日もなんにもなかった

でもまあ、悪くはないかなって

この時間も必要だってこと私はもうしっているし、時が来たらどうせ動く。私はそうだ。で、またダメになる。その繰り返し

いいんだよ。なんとかはなる、大丈夫。何かにする。私の事だから。このくだらない今日を、ちゃんと何かに還元できる。それが私の強み。たぶん

爪を黒く塗ってみた。ネイルが好きで、よく自分で塗ってた。最近してなくて久しぶりに塗った。黒の中にラメを入れる。私みたいだと思った。暗闇の中の光こそが、一等のキラキラ。いちばん眩しい大切な物。爪を見るたび救われた。心が一瞬軽くなる。キラキラする。炭酸が弾けるみたいに、心の中にチカチカと眩いときめきが生まれる。

いい加減寒い。深夜の公園でこんなこと。手は悴んでいるし、花をすすりながらだし。信号の点滅が綺麗だ。静かで、時折通る車の音と、自転車の気配。それだけ。該当に照らされるのが白とピンクじゃなくて、若葉の緑になっている。季節は巡る。時間は流れる。止まらない。次に向かおうとしているのだ。家賃も光熱費も払ってない。ネットショッピングの代金だってずーっと請求が来てる。お金欲しいな。たぶんなんとかなるでしょ。なんだってできる。若いし。通り過ぎて、若くなくなって、そしたら今日の日のことだれかにどこかで話したい。私もこんなだから大丈夫だよ、って私みたいな若者に教えたい。伝えたい。だからそれまで生きなくちゃね。やだなぁ

なんて

こういうふうに、きっと、ずっと

大人になっても。いつか大人になれても。たとえばお金持ちになれても。夢を叶えても。恋人ができても。お母さんになっても。

私は変わらず息苦しくて、でもこうやって文章が頭の中を駆け巡って、それを放出して

この夜を忘れないだろう、と思った

忘れても、いつか何かの拍子に思い出して、この夜のこの気持ちを、この感覚を私はいつまでもいつでも鮮明に思い出せるだろうな、と思った。

若い私の、精一杯に生きた、人生の中、瞬きする一瞬くらいの事。

道路ってよく見るとキラキラしてる。あれは、小石か何かがひかってるのだろうか。なんでもいい。でも道は、私達が普段歩く道は、実は小さく輝いている。

帰ったらビスケットをたべよう。これを読んでる今もきっとこのビスケットが好き。忘れてたら思い出して。そして今日の夜はそのビスケットをたべてね。むずかしいか、これを読む時の私がいつでも会える距離にいるとは限らないし。

じゃあ、爪を塗ってよ。なんでもいい。今好きな色で。そしてラメを上塗りしてキラキラさせてよ。無理矢理。こんな毎日を。

人生はデコるためにある。自分の人生だもん。自分の好きな色で塗り潰して、花とか、リボンとか、レースとかあとなんかキラキラさせて、そうしたいよ。私の人生なんだもん。私の好きに生きればいい。いつまでも、いつまでも。

どこまで行っても、たぶんまだまだこれからだし。

果てしないね。途方も無くて。真っ暗でよく見えない。不安しかない。たぶんいつまでも、どれだけ大人になってもそういうのは付き纏う。安心なんか、落ち着きなんか一生無縁かも。でも

暗がりでキラキラするのは私の得意分野でしょ。私にしかできないことってそれだよ。孤独がキラキラするの、私がいちばんしってるよ

重たいキラキラをしょうがねーなーって抱きしめて、明日もなーんにもできずに、でも確かに生き延びて

今はただ、それさえできればいい。それができれば上出来